ラノベ書きしもの日記

ワナビの日記

読書

読書感想 『偶然の聖地(著:宮内悠介)』※ネタバレ

宮内悠介著の小説『偶然の聖地』を読んだので感想。 表紙の序文によれば「エッセイと小説の中間のようなもの」という依頼で雑誌「IN POCKET(廃刊)」に連載された作品をまとめたもの。 登ると願いを叶えてくれるが地図にはなく行き方も不明という伝説の“存…

読書感想『ラナーク 四巻からなる伝記(アラスター・グレイ)』※ネタバレ

『哀れなるものたち』の原作者アラスター・グレイの第一長編『ラナーク』を読んだ。本作のネタバレがあるため、未読の方はご注意を。 グレイは日本における著作の邦訳は哀れなる~以外絶版。本作も絶版で中古価格が定価よりだいぶ高くなっており読むのが難し…

ゲームの持つ虚構と現実 読書感想『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』※ネタバレ

ガブリエル・ゼヴィン著、池田真紀子訳の小説『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』を読んだので感想を。結末までネタバレありです。 あらすじ:ハーバード大学に通うサムは、MITでゲーム作りを学ぶハイディと再会する。二人は幼い頃、サ…

読書感想『メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行 Ⅰウィーン編(著:シオドア・ゴス)』※ネタバレあり

シオドア・ゴスの人気シリーズ第二弾『メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行』を読んだので感想。結末までネタバレがあります。

連綿と続く搾取のシステム、その名は宗教 読書感想『信仰が人を殺すとき(著:ジョン・クラカワー 訳:佐宗鈴夫)』

1980年代のアメリカで起きたモルモン教徒による殺人事件への取材を通して、モルモン教の歴史やモルモン教徒が起こした事件、そしてその背景にどれほど深刻にその教えが影響しているかを書き綴ったノンフィクション。

メイヘムが世界を壊してくれなかった時代に贈る惨事 小説感想『インヴェンション・オブ・サウンド(チャック・パラニューク)』

ランキング参加中読書 ファイトクラブのパラニュークの小説。翻訳が出るのは久々らしい。私はファイト・クラブしか読んだことのない典型的なにわか。 すげー小説だった。みんな読もう。以下、結末を含めたネタバレあり。

ソシオパスなファム・ファタル萌えなのかこの作家 読書感想『アリスが語らないことは(ピーター・スワンソン)』※ネタバレあり

ピーター・スワンソン著『アリスの語らないことは』を読んだので感想を。創元推理文庫から。 原題は「All the beautiful lies」全ての美しい嘘、だそうです。原題のが作品に合っているような、邦題の方が物語の芯の部分をぼかして想像を働かせるような、どち…

懐かしさで真っすぐ読めない。 読書感想『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』

まさかまさかの戯言シリーズ最新作『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言使いの娘』を読んだので感想を。 十代のころ清涼院流水にハマり、氏が帯を書いているというだけの理由でクビキリサイクルを読んだのが始まりなので、思いで深い。久々の新作は楽し…

孤独を求める殺人鬼が孤独に刺される圧倒的な物語 読書感想『そしてミランダを殺す(ピーター・スワンソン)』※ネタバレあり

ピーター・スワンソン著の小説『そしてミランダを殺す』を読んだので感想を。 以降結末までのネタバレが記載されています。

フィクションが作家を永遠にする 読書感想『アーカム計画(ロバート・ブロック)』

アーカム計画を読んだ。クトゥルフものの傑作と名高い一作。絶版。 結末までネタバレあり

読書感想 『隷王戦記3 エルジャムカの神判(森山光太郎)』 ※ネタバレあり

全三巻の最終巻。神々が人類から選んだ数名の英雄に超常の力を与え争わせる世界、運命に絶望し人類廃滅に動く覇者エルジャムカと、唯一エルジャムカを殺しうるカイエンの戦いの物語。 結末までネタバレありです。

熱量が全てを押し流す圧巻の古典ラノベ 読書感想『ブラックロッド(古橋秀之)』

古橋秀之作、ブラックロッドを読んだので感想を書きます。 今年発売された愛蔵版ではなく、古い方を読みました。 本作は第二回電撃ゲーム小説大賞【大賞】受賞。初版は1996年、まぎれもなくライトノベルの古典的名作。第一回受賞の高畑京一郎と第二回受賞の…

パスティーシュが差別の時代に縛られた女性たちを解放する 読書感想『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち(シオドラ・ゴス)』

シオドラ・ゴス著、鈴木潤・他訳の小説『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』を読みましたので感想を書きます。 ネタバレありです。

無駄の無い曖昧さ 読書感想 ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』

国書刊行会から出ているジーン・ウルフの『ケルベロス第五の首』を読んだ。 タイトルは知っているが長らく読んだことのなかった一冊。まず装丁がかっこいい。 以下、ネタバレがあります。

読書感想 ペ・ミョンフン『タワー』

ペ・ミョンフン著「タワー」を読んだので感想。ネタバレありです。 647階建ての巨大タワーにして50万人が暮らす独立国家<ビーンタワー>を舞台に、特殊な国家のありようやそこに暮らす人々の姿を描く韓国SFの金字塔。 面白かった。明らかに韓国という国の政…

読書感想 深見真 「ブロークン・フィスト 戦う少女と残酷な少年」

深見真著、ブロークン・フィストの一巻を読んだ。 第1回富士見ヤングミステリー大賞を受賞した一作であり、現在も現役で作家として活動し、PSYCHO-PASS サイコパスなどのアニメ脚本・シリーズ構成でも活躍する深見真のデビュー作。2002年発売。 富士見ミステ…

古いラノベを読む 稲生平太郎「アクアリウムの夜」

稲生平太郎著、アクアリウムの夜を読んだ。 1990年に書肆風の薔薇から刊行された小説を、角川スニーカー文庫が2002年に復刊したという変わった経緯の作品。2000年代初頭、角川スニーカー文庫はスニーカー・ミステリ倶楽部というレーベルを作っており、そこか…

読書感想 伴名練 編「日本SFの臨界点[怪奇篇]ちまみれ家族」

SF作家の伴名練が編者としてまとめたSFアンソロジー。 伴名練が選んだなら面白いだろう。という期待感で手に取る。本書は国産SFを幅広い時代から「SFかつホラー」という縛りで選んでいる。各短編の前に伴名練による短い解説が書かれているのだが、これがいい…

読書感想「国のない男(カート・ヴォネガット)」

カート・ヴォネガットの最後の本、最後のエッセイである「国のない男」を読んだ。 各章はヴォネガット手書きの文章が表紙としてあり、次にひとつのテーマでのエッセイが進む構成。一枚目は有名な「善が悪に勝てないこともない。ただそのためには天使がマフィ…

本当に読んで良かった最終巻。『ダブルブリッドX(最終巻)』

ダブルブリッドX(10巻)を読んだ。作者は中村恵里加さん。1999年に電撃ゲーム小説大賞を受賞、2000年に本シリーズでデビュー。20世紀のラノベ。本シリーズは2000年にスタートし2003年までに一気に9巻まで出たのだが、その後ストップ。最終巻は四年半後の2008…

新作百合短編小説「ひとすくいの幸福」をリリースしました。

新作短編をリリースしました。読んでください。 たくさんの幸せをすくえる魔法のスプーンで幸せを奪われることで幸せになる少女の物語です。重め感情こじらせ百合です。 t.co

古いラノベを読む 『円環少女 1 バベル再臨』

古いラノベを読む。漫画やアニメなどのメディアと比較するとラノベは完結後語られなくなるまでが早い気がする。縦軸で語られることがないというか、ジャンルのマップが意識されることが少ない。別に私もマップを作りたいわけではないのだが、そんなことを考…