ラノベ書きしもの日記

ワナビの日記

レベルアップした続編 映画感想『search/#サーチ2』※ネタバレ

 映画seach2を観たので感想。結末までネタバレありなのでご注意ください。

 

 面白かった。1作目も好きでしたが、2作目はさらにいい。作りが洗練されていて、この手のアイデアを引き継ぐタイプの続編にありがちなガッカリ感が全くない。

 前作が行方不明の娘を探す父親だったのに対し、今度は彼氏と旅行にいった母親が行方不明になり娘がPCを駆使して探すという反転させたものになっている。ドラマの構造も同じで、仲がギクシャクした親子が調査を通して相手の真意に気づき諸々後悔、警察はあまり宛にならなくて調査を進めると親子を取り巻く大きな悪意の存在に気づき、敵の正体が明らかになる、という構造も共通している。なので、アイデアは同じなわけだけれど、とにかく情報の出し方が巧くて、見せ方もよりよくなっている。「画面上のみで展開するミステリー」というアイデアは2作目になるとその新鮮味が薄れるわけだけれど、その薄れた分をドラマの巧さで埋めてくれる。いつかこういったアイデアのドラマがもっとたくさん作られてこの描き方に新鮮さが全くなくなっても、この2作目は面白い映画として観られるだろうと思う。

 

 展開の巧さがやっぱりとてもいい。冒頭の幸せな家族のビデオが、実はDV被害者の母が夫のDVを記録するためのものだったことで一気に物語が転換するのはビビるし(このビデオ誰の視点でいま流れてるの? とは思うけど)、胡散臭い母の彼氏が前科持ちの元詐欺師⇒母とのチャットでいい人っぽいことがわかる⇒ライブカメラでサプライズプロポーズしている姿を見て彼氏への疑いを晴らす⇒実は全て警察の捜査をごまかすために最初から仕組まれていた、という二転三転はドキドキして素晴らしい。

 あと一番ビビるのは、物語のほとんどが展開されるPC画面からカメラが引いていくと、それは主人公のPCに仕込まれた監視ウェアだった、というところ。画面上で物語が展開する構造を見事に使ったどんでん返しにビビった。Siriを使うオチもGOOD。

 さすがに、ここまで手の込んだことする? みたいなことは思うけれども。

 

 で、キャラも前作よりよくなっている。主人公が結構しっかり者で自立していて頭もいいけれど、でも18歳なりに親への反発やコミュニケーションの不具合もあって生意気にも見える、というリアルな塩梅がちょうどよくて魅力的。すごく応援したくなるキャラに作られている。また、協力してくれるギグワーカーのハビエルもいいキャラで、ちょっとゆるくて呑気で頼りない感じなんだけど、大人としてそれなりに賢くて子供思いで、主人公と共通する問題も抱えている。協力者が優秀すぎると主人公が立たないし、間抜けすぎるとこの設定の場合探偵役が成立しない、そんな中でいいバランスでコトを進めてくれるキャラ付けもまた巧い。

 全体的にとても観やすくてうまくて、関心する映画だった。

 最初は字幕版で鑑賞したが、字幕の量が普通の映画よりはるかに多くて映像や原語の芝居に集中できずもったいないので吹替版でもう一度観た。主役の吹替が種崎敦美さんで良い芝居。