ラノベ書きしもの日記

ワナビの日記

ゴジラの野性味が強く、人間の活力が強い 映画感想『ゴジラの逆襲』※ネタバレ

 ゴジラマイナスワンを観て、そういえば私は数作しかゴジラを観たことがないなと思い過去作を掘り始めた。

 

 本作は初代ゴジラのヒットを受けてわずか半年で作成されたゴジラ映画第二弾。全く知識がない状態で観たので大変楽しかった。

 

 あの初代ゴジラの強烈なラストから半年で二作目というスピード感が昔っぽい。1作目のヒットを受けて即座に作られた作品だが一作目に引きずられることのない作品になっていて、戦争の陰が濃い前作から一転して本作は軽快で人間たちの活力が前へ出ているし、映画のテンポ感も違う。

 今見ると、二作目ですでに怪獣対決がスタートしていることに驚くとともに、怪獣が野生の獣として噛みつき主体で戦っておりこのころはまだデッカイ恐竜という感じだったのだなとその後のシリーズとの差異も面白い。ゴジラの牙が乱杭歯で怖い顔していて、この辺りもヒーローになって神々しくなる前のゴジラの歴史が見えて楽しい。

 ゴジラを前に人類が作戦を立てる→予想外の理由で作戦失敗→大惨事→次の作戦に。という構図は現代にも通じていて、そのような流れを過去作で観るのもまた楽しい。本作における作戦を失敗させる予想外の出来事がゴジラの隠された能力とかではなく、脱走した囚人が大火災を起こしてしまう、というイベントで起こるのはかなり意外というか面白いアイデアだなと思う。これはたぶん、今の時代にやったらシナリオが荒いと批判されるだろうなとも思うけれど、でも荒っぽいからこその予想外な楽しさはある。

 また、アンギラスについては、「アンキロサウルス、通称アンギラス」という大嘘で設定を語るシナリオには「こういう大嘘で決めちゃったいいんだよな、たしかに」と思うとともに、中盤であっさりゴジラに負けてしまい後半不在という作劇が怪獣映画というジャンルが途上の時代だったことが伺えて興味深い。

 CGだと動きの粗とか映像の粗が気になるのに着ぐるみ特撮だとそういうもんだと思えるのは不思議だなあといつも思う。ゴジラが埋まる雪崩の氷とか、さすがにそういう状態の荒い氷にはならんのじゃないのかと思うけど、まあ特撮だしなと気にならないもんな。認知の歪みというか。

 なんも事前情報なしで昔の映画を観ると色々発見があって楽しい。

 

 人間ドラマ的な部分にあまり比重が置かれておらず怪獣シーンと怪獣シーン間はそこまで面白くないのだけれど、80分という短さならそこはそこまで気にならなかった。やはり最近の映画は長くしすぎているのでは。今も昔も邦画においては怪獣大暴れシーンはお金がかかるからあまり長い尺にできない、となれば人間ドラマを長くして二時間映画にしようとした結果トータルで観た際に「ゴジラはいいんだけど人間ドラマがつまらん」となりがちなのだけれど、やっぱり逆に短めの映画にして相対的に怪獣の比率を高めた方がいいんじゃかなろうか。これは他のモンスターものとか、ホラーにも言えるかも。