ラノベ書きしもの日記

ワナビの日記

手堅い一品 映画感想『ヴァチカンのエクソシスト』※ネタバレ

 ヴァチカンのエクソシストを観たので感想。ネタバレありです。

 

 ヴァチカンのチーフ・エクソシストであるアモルト神父のもとに教皇から悪魔祓いの依頼が入る。スペインの廃教会に暮らす一家の息子が悪魔にとりつかれたという。アモルト神父は子供を救うため悪魔を倒すべく対決する。というお話。

 

 評判通り面白かった。ラッセル・クロウの俳優パワーと手堅い演出、そこそこリッチな映像にジャンル映画のキモを理解したシナリオの手堅い一品。

 神父対悪魔というキリスト教映画かつ許可を取っての映画化にもかかわらず、出来上がってみれば国際エクソシスト教会から顰蹙を買っているという点からわかる通り不信心な人間からすれば楽しい映画になっている。観ている間楽しくって爽快、という塩梅がいい。

 最初に悪魔と対峙する若き神父トマスの取り扱いがよくって、だいたい最初に悪霊と戦う霊能力者って惨敗して死ぬんですが、彼はアモルト神父のバディとして支え合って成長していく。アモルト神父の冗談交じりの軽快な姿勢もいいし、彼がそのスタンスの裏に抱える苦悩の描き方もくどくなくていい。生真面目に見えてとある問題を抱えているトマスと、軽快なアモルトのバランス感が大変いい。

 物語的にはありきたりであんまり驚きはないし怖くもないのだけど、一方でこの手堅さが心地よくもある。そして、そういったベタな感じでありながら、ダレない工夫が沢山ある。尻上がりに派手になる悪魔の攻撃もいいし、神父に軸を置いて家族ドラマはあっさり気味なのも映画のテンポを損なわない。

 この痛快娯楽っぷりを支えるクロウの演技力が手堅いジャンル映画の楽しさを爆発させてくれる。楽しい映画が必要な時期にこういう映画がきたらそりゃバズりますわな。

 ただ異端審問などのキリスト教の悪事を全部悪魔のせいにするのは、さすがにエンタメといえども引くなーとは思います。

 

 ちなみにゴールデン・ラズベリー賞にノミネートされている。センスがないぜラジー賞。ちなみのちなみに、実在のアモルト神父について調べると、この人もトンデモな人でそっちも面白かった。