ラノベ書きしもの日記

ワナビの日記

犯罪も怖いけどカスハラも怖い 映画感想『マスカレード・ナイト』

 東野圭吾原作、キムタク主演のシリーズ第二弾『マスカレード・ナイト』を観たので感想を。

 

 高級ホテルで大晦日に行われる『マスカレード・ナイト』に、都内で発生した殺人事件の犯人が現れるという密告状が警察に届く。警察はホテルの従業員にふんして潜入し、来場者から犯人を探し出そうとするが、来客は怪しい人物ばかり。そのうえ覆面パーティーで顔を隠す中での捜査は難航を極め……という物語。

 前作に引き続きホテルに潜入する新田とコンシェルジュ・山岸のコンビ。一作を経て相棒感は強くなり、ルールについてのやり取りはけっこう好き。

 

 ホテルに訪れる様々な難客の無理難題をこなすホテル業務と、タイムリミット、犯人へたどり着く推理の道程が絡む展開が魅力なのだけれど、ホテルマンものの面白さは前作のが楽しかった。というか今回はクレイジーすぎる一人目の客と、続くとある事情で難題を出し続ける男の二名だけが難敵で、しかも色々あって無理難題が行き過ぎて延々カスハラを見続けるみたいな感じでしんどかった。

 

 いまいちなところはままあって、謎のキムタクタンゴは謎だし、性同一性障害の男性表現がヅカっぽい口調ってのは漫画っぽすぎて違和感がすごい。マイノリティ表象としてもアリなのかこれは。でもここと犯人当ては、そもそも原作が小説だから通じる無茶をしているところであって、仕方ないかも。でもせめてどうにか犯人に目星をつけて話しかける切欠のシーンと、あと目が美しいことが際立つ何かが欲しかったよね。麻生久美子さんはそりゃもう美しいけれど、当人の美しさだけでは謎解きの説明としてはきびしい。

 誰かが手前で話をしていると後ろで別の人物が、というのはベタだけどやっぱり観ていて心地いい。

 顔を隠した大量の人間が閉鎖空間に集まる場所であえて犯行が起こる必然性の根拠としての犯人像と動機はよかったな。エピローグが長すぎた気もする。

 でもなんやかんや楽しかった。