ラノベ書きしもの日記

ワナビの日記

ちゃんと面白いエンタメ邦画 映画感想「見えない目撃者」

 見ない目撃者(日本でリメイクした方)を観たので感想を書く。

 韓国映画を日本でリメイクするのも増えてきましたね。

 結末までのネタバレがあるので、未見の方はご注意ください。

 以降、ネタバレがたくさんあります。

 

 アトロクで面白いリメイクだったと話題が出ていたので鑑賞。

 いきなり不貞腐れたガキのわがままに付き合って警官が危険運転して事故る冒頭から始まって、馬鹿正直に嫌なことを言う教師が出てきて、この映画はもしかしてつまんないんじゃないかと不安になったが、そんな序盤に反して面白かった。

 

 盲目の元警官と行き場のない少年が猟奇殺人鬼に挑むという設定が面白い。

 盲目・精神科通院、という主人公が事故で負ったものがそのまま主人公が信用されない理由になる。とともに、事故で失意に落ち込んだ主人公がそんな状態でも警官として生きようとする姿がわかりやすくなる。うまいセットアップ。

 そんな序盤含め全体的にちゃんとしていて、シナリオや演出が丁寧。スケボーで走る少年の後ろからカメラがじりじり近づくところは、BGMなしで演出さればっちり怖い。そこからの無機質な車の動きも怖くていい。エンタメっぽいグロで描写される殺人はきっついんだけど、それが出てくるタイミングがよくて、事件が主人公の妄想ではなく警察にも協力者があらわれてというタイミングで出てくる。サスペンスって犯人が見えてくるとちょっと観客が安心してきて怖くなくなってくるので、そこでツイストが入るわけだけど、これは抜群のツイスト。

 犯人からアルコールの臭いがしたっていう主人公の証言が、もう一人の目撃者と食い違うってシーンがあるのだけれど、ここの食い違いの正体がアルコール臭は飲酒ではなく眼鏡クリーナーだったってのがよかった。幼いころに猟奇殺人の現場を撮影したことでそれに魅了され自分も、となった犯人の動機もきもくていい。パンイチで殺す動画撮ってるところ、全裸がよかったよね。全く表情を動かさずに走らずに追ってくる芝居もよくて、武装も刃渡りの長いナイフ+足にもう一本隠す殺す気全開なとこもGOOD。よくわかんなかったんだけど、儀式殺人ではなかったならあの順序性は十五年前へのあこがれってこと?

 最後はお約束といっていい、暗闇バトル。大事なとこを無音にしているとこもよかったな。こういうので犯人があっさり死ぬのって好きじゃないんだけど(人を殺せない監獄にずっといるのが彼にとって最悪の地獄でしょ)、でもまあ最後に目を撃たれて死ぬのもそれはそれでありか。

 飽きなくていい映画だったな。

 売春家出少女を救う金持ち『救様』という都市伝説の正体が、彼女たちを誘拐して殺す猟奇殺人鬼だったという設定はどことなく90年代っぽい。

 しかし証拠隠滅を警察署内でやっているわけだけど、これって生活安全課の若手警官に可能なんだろうか。証拠隠滅の話が出た時点で木村の部下のあいつが犯人か共犯だと思ったよ。

 

 ちなみに一番好きなシーンは定年間近のベテラン警官が事件の調査に前向きではない上司を説得する方法が「小声でため口で頼む」だったところ。今は上司と部下だが、かつては逆の立場で、そのころの信頼関係が続いているのがわかる。まあ、人情派の警官なんで単独行動して死ぬんですが。この映画、しっかり死亡フラグが立つ。