ザ・フラッシュを観ました。感想を書きます。
以下、結末までネタバレありです。
コミカルさとしんどさがうまく混ぜられて、非常に見やすく整理されており、とかくシナリオが上手い。あと、エズラ・ミラーがいないと成立しないキャラクター造形と芝居で、こりゃどえらいことやらかしてもなんとか公開もするよなあと思う。編集や演出、映像処理が凄い部分もあるのだろうけれど、一人二役であれだけ会話して感情を動かしてキャラに差異を出してとやってのけるミラーの技量がないと不可能な映画。
ヒロインの人がフラッシュとは対照的に目がぱっちりでぐいぐいコミュニケーション取ってくる、というビジュアルも性格も反対に設定されているのも上手いところで、手番が少ないけどたぶんこの人ならフラッシュともスムーズにやっていけるだろうなと思わせてくれる。
自分はマイケル・キートン版バットマンのリアルタイム公開世代ではなく、テレビ放送とか、大人になってから配信で観るなどした世代だったが、それでも観たことあるあの鎧だらけの部屋が出てきたり、乗り物が出てきたりするとやっぱりワクワクするので、これはリアルタイム世代だったら相当うれしいだろうなと観ながら思った。
過去改変前のベン・アフレック版バットマンはASDっぽくて父親のことでしんどい状況のフラッシュを気遣ってくれるし、キートン版バットマンはその過去を重ねて力を貸してくれる、そんな大人として描かれるウェインがどちらもとてもいい芝居だった。
んで、スーパーガールもすげえいい。立ち居振る舞いがカッコいいし、地球人にひどいめ合わされたのにたった一人からの恩義に報いるちょっと不器用だが正義の人って姿が、芝居からすげえ伝わってくる。これぞクールビューティー。
映像表現もとってもいい。冒頭の倒壊する病院から落ちる赤ちゃんを確保するフラッシュのアクションはかっこいいし、バットマンの追跡戦も楽しい。キートンバットマンのアクションも、スーパーガール対将軍の重い一撃の打ち合いもいい。時間移動概念世界みたいな場所のデザインもよかったな。あそこが狭い空間なのがいい。
改変後フラッシュが何度も世界を救うために、ヒーローであり続けるために時間を繰り返し変貌し元の姿とは似ても似つかなくなる、というのはFateのアーチャー連想したな。別に並行世界・別時間軸の自分の変容なんてFateがオリジナルの概念ではないわけだけれど、ヒーローの行き着く先ってストーリーはすくない気がする。
フラッシュとスパイダーバースを見比べると、共に別の世界で自分の同一存在と出会ってしんどい運命に直面するわけだが、その結論が異なる。運命を受け入れるか、運命に抗うか。スパイダーバースは後編がまだなのでそういう結論なのかはまだわからないけれど。運命に抗って立ち向かうっての方が好みなのだけれど、しかし絶大な力とそれを振るう責任があまりに微妙なバランスで保たれヒーローを形作るのであれば、それを受け入れるのも強さなのかもしれない。
すっげえ面白かった。